岩手県は本州の北東部に位置し、その広さは北海道に次ぐ面積で四国四県をひと回り小さくしたほどの大きさです。内陸部の大部分は山岳丘陵(きゅうりょう)地帯で占められ、西側に奥羽山脈、これと平行して東部に北上(きたかみ)高地が広がり、この間を北上川が南に向かって悠々と流れています。沿岸部は日本における代表的なリアス式海岸で、その沖合いは世界有数の三陸漁場。そこで採れる岩手の「あわび」は日本一の漁獲量を誇り、今では国内のみならず世界からも高い評価を受け、海外の食通たちをも唸(うな)らす最高級品とされています。
「赤身が美味しい和牛」として、知る人ぞ知る「日本短角(たんかく)種」(短角牛)も岩手の特産のひとつです。脂肪分は少なくアミノ酸はたっぷり。本当の肉好きに選ばれている「いわて牛」もおススメのひとつです。それから、岩手といえば「盛岡三大麺」を語らずにはいられません。コシの強い麺にコクのあるスープの「盛岡冷麺」。平麺と肉味噌が絶妙の「盛岡じゃじゃ麺」。お給仕さんが、一口大の蕎麦を次々にお椀に入れてくれる「わんこそば」。岩手にお越しの際には、是非とも食べてみてください。
また、豊かな自然や奥深い歴史・文化にあふれた岩手は、見所もいっぱいです。
「さながら極楽浄土のごとし」と、目の前に広がる風景に感嘆したことから名付けられたともいわれている陸中海岸の代表的な景勝地「浄土ヶ浜」。世界でも有数の透明度を誇るドラゴンブルーの地底湖の水深は98mと、日本三大鍾乳洞に数えられ国の天然記念物にも指定されている「龍泉洞(りゅうせんどう)」。別名「南部片富士」とも呼ばれ、標高2038mと岩手県の最高峰である「岩手山」。とくに、新緑の時季の盛岡駅から市街地へ行く途中にある「開運橋」から眺める岩手山と北上川は、筆者が個人的に大好きなアングルのひとつです。
世界遺産の平泉は、平安時代末期に奥州藤原氏が黄金文化で栄えた時代の寺院や遺跡が多く残り、マルコ・ポーロの「東方見聞録」で「黄金の国ジパング」と紹介したのは、中尊寺金色堂が元となり聞き伝わった話との説もあるようです。
美味しい食と風光明媚な自然、そして真面目でおとなしく、寡黙で口下手な岩手県人が、いつでも皆さまをお待ち申しあげております。