髪を振り乱した鬼が奏でる、鮮烈な太鼓の音色に聞き惚れる
凄まじい形相の鬼に扮した奏者が身を震わせ舞い踊り、ドドンッドドンッと一心不乱に太鼓を打ち鳴らす「鬼太鼓」をはじめ、佐渡島内で伝承され続けた郷土芸能が一堂に会する「佐渡國鬼太鼓どっとこむ」。500年以上の昔からこの地に伝わる鬼太鼓、その起源は当時島の田畑を荒らす鬼を退治した、二頭の獅子の伝説に由来するといわれています。威嚇の意を込めて荒れ狂うように太鼓を叩く鬼と、二頭の獅子が舞台の上を駆け巡る姿は伝説を彷彿とさせ、演舞を通して島の歴史を後世へと伝えていきます。
鬼太鼓だけじゃない!佐渡を代表する芸能の数々
お祭りでは鬼太鼓のほかにも多くの催しが舞台を彩り、会場を盛り上げます。中でも地元の人にとってなじみ深いのが、編み笠と、紺碧(こんぺき)の海を思わせる深い青の着物が目を引く「佐渡おけさ」。遠く九州は熊本で酒の肴の騒ぎ唄として歌われていた「牛深ハイヤ節」が海を越えて伝わった、島を代表する民謡の一つです。かつて佐渡金山の鉱夫たちが親しんだ、哀愁漂う三味線と笛の音は、現代に生きる私たちの心にも優しく溶け込み、穏やかな気持ちにしてくれます。文化を守り継承し続けてきた佐渡島のお祭りは、ふるさとへの愛と誇りが色濃く感じられます。