神の火を灯した松明を持つ男たちが山中を疾走!

白装束に荒縄を巻いた「上り子」が松明(たいまつ)の炎をかかげながら、神倉山の538段にもおよぶ石段を駆け下りる「お燈祭り」は日本有数の火祭り。その起源は1,400年以上前に遡るといわれ、もとは旧暦の正月に“新年の火”を迎えるお祭りでした。神話にも登場する熊野の神倉神社に集結した上り子たちは、轟々と燃え盛る迎火大松明(むかえびだいたいまつ)のご神火を自らが持つ松明にいただきます。全ての上り子にご神火がまわると、しばし山門は閉鎖され、その後山門の開放とともに一斉に山を下る姿は圧巻の一言!松明を手に闇の中を全力疾走で山を下りる上り子は、その様子から「下り竜」と称されます。

松明に願いを託し、炎を灯す

お祭りの主役ともいえる松明には、無病息災や、家内安全の願いが書き込まれます。神への願いを込めて炎を灯し、それを家族へ届けることで喜びを分かち合うのが昔からの習わしです。お燈祭りは男性なら誰でも参加できますが、装束や松明などの準備が必要で、着付けにもルールがあるため、初めての参加には地元の方の協力が必須。また、あくまでも神事のため、厳粛な気持ちと敬虔(けいけん)な態度が大切です。漆黒の闇、白装束、そして紅蓮のご神火とその熱さを体感してみてください。