深く被った編笠が、不思議で優美な魅力をかもし出す

家並みに沿って並ぶぼんぼりから漏れる淡いあかりに彩られた通りを、編笠(あみがさ)で顔を隠した男女が波のように流れ踊る「おわら風の盆」。その起源は江戸時代に八尾(やつお)の町の人々が「町建御墨付文書」(まちだておすみつきぶんしょ)を手に入れたことを祝い、三日三晩町内を踊り歩いたことが始まりとされています。踊りには女踊りと男踊りの2種類があり、鮮やかに染め抜いた揃いの浴衣で風流に舞う女踊りはまさに「風の盆」の華!哀愁漂うおわら節の唄に合わせてゆったりと舞い踊るその姿は、ぼんぼりのあかりを受けてより一層優雅さを増します。

※町を開き商売や生活を営むことを認める旨を記載した文書

男踊りは気高く、ダイナミックに舞い踊る!

女踊りが華なら、男踊りは風の盆の盛り上げ役。はっぴをいなせに着こなした男衆が披露する一糸乱れぬ舞は勇ましく、時折編笠から覗く真剣な表情が日本男児の粋な色気を感じさせ観客を虜にします。最終日の夜には、町のいたるところで各町の団体が通りを踊り歩く「町流し」や、踊り手が輪になって踊る「輪踊り」が繰り広げられます。公式には23時までとされていますが、風の盆の閉幕を惜しむように、踊りの波は明け方まで続くことも。ぜひ一度八尾を訪れて、風情あふれる踊りの波に身を置く晩夏のひとときを過ごしてみてください。