国立がん研究センターがん対策情報センター長。1961年生まれ。1986年横浜市立大学医学部を卒業し、88年国立がんセンター中央病院入局。 以後、放射線診断部医長、がん対策情報センター副センター長を経て、2012年3月より現職。 ホームページ「がん情報サービス(http://ganjoho.jp/)」や「がんの冊子」などを通して、信頼できる わかりやすいがん情報の発信と普及に取り組んでいる。
自覚症状のない人を対象に、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで亡くなる方を減らすことが目的。予防対策として行われる公共的な医療サービスであり、公的資金を使用※して行われます。安全で精度の高い検査方法があり、発見されたがんに適切な治療法が存在することなどが条件に挙げられています。
少額の自己負担または無料で受けることができます。
自治体によって異なるので、詳細はお住まいの自治体にご確認ください。
検診は基本的に健康な人が行うため、健康な体に負担をかけたり、放射線を浴びたりするデメリットもあります。公共施策として行われている「対策型検診」は、そのようなデメリットに対して、検診によってそのがんによる死亡が確実に減少することなど、総合的に見てメリットが上回っていることが認められ、実施されています。
自治体によってがん検診の受け方が異なり、検診センターなどで行う集団検診や指定のクリニックなどで行う個別検診に分かれます。また、5種のがんについて個別に受ける場合と、検診時期が重なる複数種のがんについて同時に申し込める場合もあるので、各自治体の「がん検診窓口」でチェックしましょう。
個別検診の場合は特に、指定の医療機関から選んで予約をするケースが大半です。予約が必要な場合は、電話、郵送、インターネット等、各自治体の指定の方法で予約します。検診日程や時間など、気になる点がある場合は、事前に確認しておきましょう。
例えば、胃がん検診の検査当日は朝食が食べられないなど、検診によっては条件付きのものもあるので、事前によく確認しておくようにしましょう。また、常備薬やアレルギーがあったり、手術経験がある人はあらかじめ自治体の窓口や医療機関に相談してください。
対象集団全体の死亡率を下げる公共的な医療サービスである対策型検診に対して、医療機関・検診機関などが個別に任意で提供する、人間ドッグによる「任意型検診」もあります。
こちらは、すい臓がんなど5つのがん以外の検診やCTスキャンなどを用いた検診、また、対策型検診の年齢対象外でも検診を受けることができます。
一方で、追加効果の検証がなされていなかったり、健康保険の適用がなく全額自己負担であったり、検査による体への負担など、個々に検査のメリット・デメリットがあるので、バランスをしっかり考慮しましょう。
がんに対する不安は、誰もが持ってしまうもの。しかし、しっかり検診を受けて「異常なし」となれば安心できるので、5つのがんについて定期的に検診を受けるようにしましょう。一部の検診は自治体によって検診内容や検診間隔が異なるので、よく確認しておくようにしましょう。また、検診から検診の間や検診対象年齢になる前であっても、気になる症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。
詳しくは、各自治体の「がん検診窓口」にお問い合わせください。
通常のがん検診で異常ありと診断された人が、怖くなってしまうのか精密検査を受けないケースが残念ながら見られます。 がん検診は、「がんがある」「がんがない」ということが判明するまでのすべての過程を指すので、「異常あり」の場合は必ず精密検査まで受けてください。 |