口腔ケアはさまざまな疾病の予防につながるので、長く元気に過ごすためにとても重要です。 |
年をとるとだ液の分泌量が減り口腔内が汚れやすくなるので、特に気をつけないといけません。 |
病気や介護のリスクを減らすためには、毎日のキチンとした口腔ケアが必要! |
口腔環境を整えて元気な毎日を過ごしましょう! |
だ液は口の中の食べかすや汚れを洗い流す「口腔内の自浄作用」の役割を果たしています。
年齢が上がると若い頃に比べて食べる量や話をする機会が減る傾向にあり、
だ液の分泌量が減少し、口腔内が汚れやすくなってしまいます。
口腔ケアをするとむし歯や歯槽膿漏の予防に効果があることはわかるけど、ほかにも何かあるんだろうか。 |
口腔環境の悪化が原因となる怖い病気はたくさんあります! |
3つのうちどれか1つでも予防できれば発症リスクが大幅に低下します。 |
誤嚥を起こした際に食べ物やだ液とともに入り込んだ口腔内の細菌が、
肺の中で増殖することで起こる肺炎。
誤嚥性肺炎は1~3 の要因が重なった時に起こるケースが多いので、口の中が汚れていて、口腔内に細菌が繁殖していることで発症リスクが高まってしまいます。
現在、肺炎は日本人の死因の第5位※1に位置し、その多くをシルバー世代の方が占めています。そしてシルバー世代の方が発症した肺炎の約70%以上※2が誤嚥に関係したものだとも言われています。死亡原因となることが多い理由は、誤嚥性肺炎は再発率が高く、治療を繰り返すうちに細菌が薬への耐性を持ってしまい治癒が困難になることが多いからです。
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シルバー世代の方は加齢による誤嚥防止の反射機能(むせるなど)の低下から、誤嚥そのものに気づかないことがあります。その結果、発熱や息切れといった誤嚥性肺炎の初期症状に気づかず、治療が遅れて重篤化を招くこともあるので、体調が優れない時は、誤嚥性肺炎の可能性も疑うようにしましょう。 |
血液中に入り込んだ細菌が心臓に到達して内部で増殖を繰り返す感染症のこと。脳梗塞や脳出血などの重篤な合併症を引き起こします。
心内膜炎をおこす細菌は、口腔内の汚れが原因で起こるむし歯や歯周病の傷口から血液中に入り込みます。さらに、口の中が汚れていると細菌の数も増加するため、日々の口腔ケアで予防をすることが重要です。
心内膜炎の原因菌は脆弱なため、身体の免疫機能が十分に働いている時は仮に血液中に菌が入り込んでもすぐに退治されます。しかし、免疫力が落ち気味のシルバー世代の方の場合、菌を退治しきれずに発症する危険性があります。
すい臓で作られるインスリンが不足することで高血糖状態が続く病気。症状が進むと脳卒中や心筋梗塞などの重篤な合併症を引き起こします。
歯周病の症状である歯肉の炎症は「サイトカイン」という血管刺激物質を作る原因となります。このサイトカインが血液中に広がると体内のインスリンの働きが阻害され、糖尿病の発症リスクが高まります。
糖尿病の特徴である高血糖状態は体の免疫力の低下を招き、歯肉が歯周病菌に感染する可能性を高めます。
歯磨きは体への負担が意外と大きいので、毎日しっかり行うためにも疲れにくい歯ブラシを使うことが大切です。おすすめは歯に当てるだけで磨ける「電動歯ブラシ」。普通の歯ブラシの場合でも、歯のエナメル質を傷つけにくいソフトな毛や、握りやすいまっすぐで太い持ち手のものを選びましょう。また、デンタルフロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間もきれいにしましょう。
シルバー世代の方は噛む力が低下しやすく、噛む力が弱くなると前歯や犬歯といった「ものを噛み切る歯」を使用する機会が減少し、その結果、汚れがたまりやすくなります。また、左右・上下が抜けてしまった歯や入れ歯のバネが当たる部分にも注意が必要です。
軟らかいスポンジブラシを使い、舌の表面をやさしくこすって細菌や汚れ(舌苔)をこすり落としましょう。 |
上顎や頬の粘膜部分も、舌と同じようにスポンジブラシでやさしくこすりながら汚れを落とします。 |
軟らかいスポンジブラシを使い、舌の表面をやさしくこすって細菌や汚れ(舌苔)をこすり落としましょう。
上顎や頬の粘膜部分も、舌と同じようにスポンジブラシでやさしくこすりながら汚れを落とします。
3ヵ月~半年に一度くらいのペースで定期検診を受けて、
ご自身の口腔内の状態を歯医者さんにチェックしてもらうのも
口腔ケアを行う上で大切です。
口腔ケアは病気予防に効果があるだけではありません。きれいで健康的な口腔環境は、食事や人とのコミュニケーションをより楽しく、有意義なものにし、私たちのQOL(クオリティオブライフ)を高めてくれます。
イキイキとした毎日が長く送れるように“正しい口腔ケア”を習慣づけていきましょう。
監修/田村文誉先生(日本歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科教授 科長 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)
参考/『図解介護のための口腔ケア』菊地武著
監修/田村文誉先生
(日本歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科教授 科長
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)
参考/『図解介護のための口腔ケア』菊地武著